あるドライバーの話

知り合いの日本人でアメリカダート界でも有名なドライバーと
この前いろいろと話す機会がありました。

そこで面白い話をしていました。

それは、レース業界では、

優秀なメカニックよりもドライバーと共に戦おうとする
メカニックが必要だということです。


今のF1やスーパーGTなどは、各 部署により担当メカニックが決まっています。

エンジンは、エンジン屋さん  シャーシはシャーシ屋さん   というふうに
分かれています。

みんなそれぞれが各分野のスペシャリストが集まるわけです。

それを総括するのがチーム監督です。

でも、それをもっとまとめるのがドライバーの人柄です。

こいつを勝たせようと思わせる何かがドライバーにあるのかどうか?

これが重要だそうです。

F1のシューマッハやセナは、このことにもっとも優れていたドライバーで
あったと言われています。

メカニックは、所詮雇われている人間です。

プロ中のプロですが所詮お金で雇われているのです。

人間ですからやりたくない仕事もそこにはあるわけです。

例えば、精神的にクタクタな状態のときにマシンにある異常があると気付いたとします。

でも、それは、自分の担当する分野では、なかった、、、、、

でもそれを直さなければもしかしたらレースでその部分が壊れるかもしれない。

修理するのは、大変な部分なのでもしかしたら今日は、ホテルに帰れないかもしれない。

そう考えると見なかったことにしよう、、、、

人間ですからこういうことが本当にあるそうです。

私の知り合いのドライバーは、今年もアメリカでレースをします。

でも、メカニックは、お金があまりないのですべてボランティアで来てもらっている人達です。

彼の人望の厚さから集まってきた人達です。

お金で雇われた人ではなく本当に彼を走らせてあげたいと思い集まった人達です。

これは、本当にあった話なのですが、彼のマシンが走行前にあるトラブルがあるのが発見されました。

それは、とても深刻で時間がかかる部分のトラブルでした。

でも、それを見つけた彼の友人は、言いました。

「これは、修理するとなると大変な作業になる、でも俺たちは、お前を走らせてやりたいんだ!

だからみんなで直そうよ! 」

手分けして全員でやれば間に合うかもしれない、、、

そこには、、、

お金をもらっているからやるんじゃないんだ!

お前を走らせたいからやるんだ!  という

メカニックの熱い思いが伝わってきます。

こういう気持ちをメカニックに抱かせるドライバーは強いです。

所詮、自分ひとりでは、走れない世界です。

どの世界でも人間関係ほど難しいものはなく

もっとも必要なものだと思います。

人は、ひとりでは、生きていけない!

いろいろなことを教えてくれるのもモータースポーツの面白さだと思います。