★バルブリフトの考え方!

エンジンの出力を上げる場合、ハイカム、ハイコンプというのは、NAエンジンの場合
もっとも有効な手段です。

ターボエンジンでもある程度のカムが入っていないとまるでパンチのないエンジンになります。

ハイカムと一言でいいますが、その種類は、いろいろでポルシェを例に挙げると
  

ターボのカムが 210度 程度   

NAのカムが 240度 です。


ターボに比べてNAは、ハイカムということになります。

でもそのNAでもバルブのオーバーラップを見てみると8度もないぐらいです。

ちなみにオーバーラップとはINとEXのバルブが同時に開いている区間です。

このデーターは、ポルシェだけで見るとポルシェのノーマルってたいしたことないカムが入っているんだな!
と思いますが、国産と比べると結構な数字のカムということになります。

何故かというとポルシェのこのデーターは、1mmリフトのデータです。

純正で1mmリフトでオーバーラップのあるカムが入っている車って国産ではまずありません。

国産の場合0mmリフト時の表示がほとんどです。

0mmリフトと1mmリフトでは、まるで数字が変わります。

もし、ポルシェのNAのカムを0mmリフトで表示すれば

オーバーラップが50度以上  カムの度数でいえば280度、、なんていうカムになります。

ターボでも 260度なんていうカムが入っていることになります。

よくポルシェターボのカムは、作用角がなくて、、、、といいますがこれはあくまでもポルシェの中ではということです。

その証拠にポルシェターボにブースト計をつけるとアイドリング負圧がー20程度しか上がりません。

国産ターボになれた人が見るとエンジン壊れている?と思うぐらいです。

それでは、実際ポルシェのNAのノーマル状態でどれぐらいのカムが入れられるのか?

これは、オーバーラップと深い関係があります。

バルブのオーバーラップが増えると当然バルブとバルブが当たります。

ポルシェのM64エンジンの場合、INが8mm  EXが7mm 程度リフトするとバルブとバルブが当たります。

これってすごい数字です。  オーバーラップ時にこんなにリフトするカムなんて存在しないので
ポルシェのノーマルバルブの場合、相当なハイカムを入れてもまずバルブとバルブが当たることはありません。

これを見てじゃーすごいハイカム入れようかな! と思うのは早とちりでもうひとつ重要な部分があります。

それは、ピストンとバルブの関係です。

バルブがオーバーラップするときは必ずピストンも圧縮上死点にきています。

このクリアランスが重要になります。

よくピストンにバルブリセスが切ってあるのを見ると思いますがリセスがなければピストンとバルブが当たってしまうからです。

M64ノーマルエンジンの場合この限界数値が3.6mm程度です。 

実際には、0.5mm程度のクリアランスが必要なので圧縮上死点で3mmリフトが限界です。

それでは、実際にノーマルカムはどれぐらいリフトしているかというとINが1.3mm  EXが1.15mm です。

3mmが限界ということを考えればバルブと比べて余裕がありません。

結構なハイカムを入れた場合ピストンタッチします。

だからハイカムを入れる場合は、同時にピストンのリセス加工が必要になります。

バルブとピストンの関係は、こういう風に数字で追いかけていくと自分のエンジンの限界位置を知ることが出来ます。

ポルシェの場合、バルブ同士のクリアランスは、かなりあるのでいくらでもBIGバルブに出来ます。
あまりやりすぎるとプラグ穴にかぶってしまいますが、、、、

ちなみに、このデーターは、あくまでも参考データですのでバルタイやタペットクリアランスで当然変わります。