ポペットバルブとスイングバルブ

ターボのブースト圧を制御する部品にポペットバルブとスイングバルブがあります。

違う名前で言うとウエストゲートとアクチュエーターです。

ウエストゲートは、タービンとは個別でEXマニにウエストゲート用のフランジを溶接して使用します。

アクチュエーターは、タービンのEXフランジにロッドが付いていますのでタービンと一体型の構造をしています。


両者の違いは、構造とタービン圧を逃がす容量の違いにあります。

当然ウエストゲートのほうが容量があり性能的にも優れています。

ただ、アクチュエーターと違い取り付けの場所とレイアウトが複雑になります。

一般的な国産車のタービンは、ほとんどアクチュエータータイプです。

純正でウエストゲートを使っている代表的な車は、ポルシェです。

ポルシェターボは、純正でK27のタービンとウエストゲートを組み合わせています。

3.3Lでシングルタービン、、しかもK27だとさすがにウエストゲートでないと無理です。

ウエストゲートは、中にエンジンのバルブに似たパーツが入っていてそれをスプリングで押さえつけています。

スプリングがブースト圧で押し上げられてバルブが開くことによってブーストをコントロールしています。

社外のウエストゲートだと中に入れるスプリングの強さによりブースト圧が変わります。

よく間違える人がいるのですがブーストが上がりすぎるからブーストコントローラーを付けてブーストを下げようと
いう人がいます。

これは、無理です。

ブーストコントローラーは、ブーストを上げることは出来ても下げることは出来ません。

これを勘違いしている人が多いです。

ノーマルブーストは、アクチュエーターもしくはウエストゲートの容量で決まってきます。

だから初めからブーストが上がりすぎている車は、ウエストゲートかアクチュエーターがおかしいか、、
配管がおかしいかのどちらかです。

アクチュエーターの場合は、タービンからアクチュエーターの配管が外れていたり潰れていればブーストは、上がります。

ウエストゲートの場合は、ダイヤフラムを動かす下側の配管が外れていたりブーストをコントロールする
上側の配管が詰まっていればブーストは、あがります。

あとは、ウエストゲートも年数が経つとバブルのガイドにガタが出てきます。

エンジンのバルブガイドのガタと同じようにガタガタになります。

しかもウエストゲートは、エンジンのバルブとは違いバルブシールを使っていないので
ガタがあると入ってきたエアがもろにガイドの中を通り抜けます。

そうするブーストがオーバーシュートする原因となります。

今、作業しているポルシェの964の3.3Lターボがまさにそうで、乗ってみると3速でもブーストが
1.2Kを指した後に0.9Kになります。

エンジン  タービンともノーマルでブーストコントローラーも使っていません。

始めは、配管がおかしいのかと思いましたがウエストゲートを外してみるとガイドがガタガタでした。

ポルシェのように純正でウエストゲートを使っている車の場合、
点検などでウエストゲートをチェックすることはまずありません。

さすがに販売から15年以上経つとウエストゲートもダメになってきます。

ポルシェのウエストゲートは、中身のパーツ販売がメーカーではないのですが、
ガイド本体は、加工屋さんでバルブガイド入れ替えと同じような作業をしてもらえば直ります。

また、中身のダイヤフラムもアメリカから取り寄せればパーツを入手することが可能です。

ポルシェターボにお乗りの方でブーストが安定しない方は、ウエストゲートの可能性が大です。

パーツ本体は、非情に高価な為O/Hして使いましょう。