930カレラ 3.2L改3.4Lエンジン エンジン始動

930カレラ 3.2L改3.4Lエンジン。

エンジン本体、LINK ECU用ハーネスの準備も終わり、いよいよ車両へ搭載してエンジン始動です。

まずはエンジン搭載の準備から。

シフトリンケージブッシュを確認すると割れがあったので、このタイミングで新品に交換します。

MTを取り付けて、エンジンを車両へ搭載。

搭載後はエンジンルーム側のLINK ECU配線を作成していきます。

今後の整備やエンジン脱着時に分解しやすいよう、配線の接続にはDTMカプラーを使用。

フルコン化は動けばいいというものではなく、後々のメンテナンス性も考えてハーネスを作ることが大切です。

配線作成が終わったら、LINK ECUの初期設定。

各センサーの入力を確認しながら、インジェクター、イグニッションコイルなどが正常に作動するかを一つずつチェックしていきます。

クランク・カム信号なども確認して、問題がなければいよいよエンジン始動。

今回は燃料制御を最初から「モデル化」で作成しました。

LINK ECUの燃料制御には、大きく分けて「トラディショナル」と「モデル化」という2つの考え方があります。

トラディショナルは、燃料MAPに入力した数値をベースにインジェクターの噴射量を決めていく、従来からある比較的シンプルな制御方法です。

対してモデル化は、エンジン排気量、インジェクター容量、燃圧、目標空燃比、吸入空気量などの情報をもとに、エンジンが必要とする燃料量をECU側で計算して噴射量を決めていきます。

そのため燃料MAPの意味も変わり、モデル化では「この回転数・負荷でどれだけ燃料を増減するか」という従来型のMAPではなく、エンジンの充填効率をベースにMAPを作っていきます。

一見するとモデル化の方が優れているように思えますが、必ずしもすべての車両にモデル化が適しているわけではありません。

トラディショナルには構造がシンプルで、実際の空燃比を見ながら直接MAPを作り込んでいきやすいというメリットがあります。

一方、モデル化は最初にインジェクターや燃圧などの基本データをきちんと設定する必要がありますが、正しく構築できれば目標空燃比を基準に燃料制御を組み立てることができます。

当社ではどちらか一方に決めているわけではなく、エンジンの仕様や車両の使用目的によってトラディショナルとモデル化を使い分けています。

今回は3.4Lエンジンの製作からインジェクター、点火系、LINK ECUの配線まですべて一から製作している車両なので、最初からモデル化でセッティングを作成しました。

無事エンジン始動。

文章にすると簡単ですが、今回は今まで製作してきた車両のデータやノウハウがあるからこそ、比較的スムーズに進めることができます。

まったく一から製作する車両の場合は、各センサーの設定から始動に必要な燃料・点火設定まで一つずつ作っていく必要があるので、それなりに大変な作業です。

エンジン始動後は、始動時の補正やアイドリング、燃料、点火など細かな部分を調整。

まずはエンジンの慣らし運転ができる状態までMAPを作っていきます。

慣らし運転用のMAPが完成したところで試乗。

高速道路を含めて約100km走行し、エンジンの状態はもちろん、油温・油圧や各センサーの数値、LINK ECUのログなどを確認します。

問題がないことを確認できたので、ここから先の慣らし運転はオーナーさんにお願いして、いったん納車となります。

慣らし運転終了後、エンジンオイル・エレメント交換、各部点検を行い、最後に本格的なLINK ECUセッティングへと進みます。

930カレラ 3.2L改3.4Lエンジン LINK ECU ノーマル配線撤去

930カレラ 3.2L改3.4Lエンジン。

エンジン本体が完成したので、今回はLINK ECU取り付けに向けてノーマルECU配線を撤去していきます。

ノーマルは80年代のインジェクションシステム。

ディストリビューターによる点火と、グループ噴射のインジェクションです。

もちろんノーマルとしては十分なシステムですが、今回は3.4L化したエンジンに合わせて制御系も一新します。

LINK ECUによる独立点火・シーケンシャル噴射仕様。

各気筒を個別に点火・噴射制御できるので、セッティングの自由度も大きく上がります。

まずはノーマルECUと不要になる配線を撤去。

ノーマル配線撤去後は、LINK ECUを取り付けるためのブラケットを製作します。

車両側もLINK ECUに合わせて新しくハーネスを製作。

写真はノーマル配線との比較です。

新しく製作するハーネスには耐熱性の高い配線を使用。

必要な配線だけで作り直すことで、ノーマルと比較するとかなりスマートになります。

古い車だからこそ、エンジン本体だけでなく電装系もきちんと作り直しておくことで、今後のトラブル防止やメンテナンス性の向上にもつながります。

これでエンジン側、車両側ともにLINK ECU化の準備が進みました。

次はいよいよエンジン搭載へ。

エンジンを載せた後は、製作したハーネスとの接続、各センサーの確認、LINK ECUの初期設定へと進みます。

930カレラ 3.2L改3.4Lエンジン LINK ECU配線作成

930カレラ 3.2L改3.4Lエンジン。

エンジン本体が完成したので、今回はLINK ECU用のエンジンハーネスを作成していきます。

まずはスロットルセンサー。

LINK ECUでエンジン制御するため、各センサー類も一つずつ取り付けていきます。

インジェクターも交換。

今回はDW 440ccインジェクターを使用します。

ノーマルインジェクターと比べると高さが合わないため、そのままでは取り付けできません。

そこで専用のアダプターを製作。

寸法を測定して、あらかじめFusion 360で図面を作成。

3Dで形状を確認してから実際の加工に入ります。

図面だけでは分かりにくい部分も、3Dで表示すると完成した形を確認できるので、加工前に寸法や形状のミスをかなり減らせます。

これも時代ですね。

続いてカム信号。

カムシャフトにカム信号を取るためのアダプターを製作して取り付けます。

クランク信号とカム信号を使うことで、気筒判別が可能になります。

これでダイレクト点火+シーケンシャル噴射での制御が可能になります。

イグニッションコイルはダイレクト点火なので、各気筒に1本ずつ取り付け。

6気筒なので6個のコイルを使用します。

従来のディストリビューターとプラグコードを使った点火方式から変更することで、各気筒を個別に制御できます。

点火系の安定性も上がり、プラグコードやディストリビューター周辺のトラブルを減らせるのもメリットです。

センサー、インジェクター、イグニッションコイルなどを接続しながら、エンジンハーネスを1本1本確認して製作していきます。

配線は後々の整備性も考えて作ることが重要です。

エンジン側との接続には、取り外しのしやすいDTMカプラーを使用。

エンジン脱着時にも配線を簡単に切り離せるようにしておきます。

これでLINK ECU用エンジンハーネス完成。

3.4LエンジンにDW 440ccインジェクター、ダイレクト点火、シーケンシャル噴射。

機械的なエンジン本体は空冷ポルシェらしさを残しながら、制御系は現代のものへ。

あとは車両に搭載して、LINK ECUの設定・始動へ進みます。