その道の達人

車業界には、いろいろな達人がいます。

実は、先日私の師匠と共に得意先周りをしてきたのですが、
4人もの達人と出会うことが出来ました。

板金の達人、エンジンの達人、作り物の達人、スーパーカーの達人

世の中には、知られていないだけでたくさんの達人が存在します。


そして、達人に共通することは、今現在も進化し続けているということです。

あるエンジンの達人がこう言っていました。

「俺なんかまだ知らないことばかりだよ!」

「いまだに新しいものを見つけては試行錯誤していると」

もう、60歳にもなる昔からのエンジンのスペシャリストの発言です。

こんなにエンジンのことを知っている人はいないと周りから言われる達人ですが、
本人は、全然そんな風に思っていない。

他の達人もみんなそうですが、全然自分がすごい人間だと思っていないところが
すごく魅力的でした。

みなさん、日本の創世記のレースやチューニングを陰で支えてきた人物です。

ランボルやフェラーリ、ポルシェ、ケータハム、ロータス、、、、、、

よくここまで珍しい車が集まるものだと思うほどに、集まるところには同じ種類の車が
集まります。

スーパーカーを本当に扱う店は、案外雑誌広告などに出さない店がほとんどです。

宣伝なんてしなくても集まってくるし、今ある車をこなすので手いっぱいのところばかりです。

中には、20年預っている車があると聞いてびっくりしました。

車業界は、年々技術者のレベルは、落ちていくものだと思います。

近年の新車を見ているともうチューニングをする必要がないものがほとんどです。

単純な修理すらコンピューターテスターがなければ何も出来ない時代に突入しています。

コンンピューターのCAN通信やパーツのモジュール設計がどんどん進み
テスターにかければすべての車の症状が把握できる時代です。

メカニックは今後、パーツの交換作業さえ出来ればいいという時代になると思われます。

スーパーカーの達人の店に、ディーラーからの依頼のポルシェが入庫していました。

テスターにかけたらしいが、どこもエラーが出ないから見てくれとディーラーのメカニックが
持ってきたらしいです。

テスターでは問題がないがエンジンは、調子が悪い、、、、

達人曰く

「テスター以前にもっと他に基本的な部分を見る必要があるのに今のメカニックはそれが出来ない。」

「基本を忘れてつまらない応用ばかりやっている」

私も経験したことがある話をすると

よくW124などのベンツの燃料ポンプはすぐ悪くなるので交換が必要と
雑誌などが取り上げています。

これを真に受けたメカニックがエンジンの調子が悪いベンツの燃料ポンプを交換します。

でも全然調子はよくならない、、、、

確かに燃料ポンプの調子は燃圧も落ちているし間違いなく悪いはずです。

でも交換しても直らない、、、、

どうしてなのか?

これは、大きなものにこだわるあまりに基本を忘れた典型的パターンです。

原因は、フューエルフィルターの詰まりだった、、、、

ただそれだけです。

経験しなければ解らないことを、実際に経験できないメカニックが今後はもっと
増えていくものだと思います。

そして何よりも本当に車に興味がない限りは、絶対に成長しません。

達人と呼ばれる人達の平均年齢はもうすでに60歳近いです。

そして、何より残念なのは後継者がいないという現実です。

また、日本からすばらしい技術がなくなっていくのだと思うと
本当に残念です。