今回は、少し難しい内容です。
最近、ジャパンカート(マニアックなカートの専門誌)を読んでいたら
面白い記事が書かれていました。
この雑誌は、カート以外にも結構面白いことが書かれているのでとても参考になる雑誌です。
課題は、フォーミュラーの未来という内容です。
私なりにもいろいろ思ったので書いてみます。
今年のF1は、最悪なぐらいカッコ悪い、、、、
そう思いませんか? 本当になんだか不恰好な感じがします。
今、いろいろな規制がF1界を襲っています。
はっきりいってどんどんつまらなくなる。 特に技術者にとっては最悪です。
昔のF1は、リッター1000馬力も出ていました。 1ccで1馬力です。
1ccですよ。 50ccのスクーターが50馬力もあったらどうでしょうか?
とんでもなく速く危ないバイクです。
F1は、年々どんどん技術の進歩が続いてついに1987年には、1500ccで1500馬力を達成します。
ホンダF1の最高傑作といわれるRA-168E V6ツインターボ
あのマクラーレンホンダとして、セナとプロストのコンビで16戦15勝したエンジンです。
今から20年前にF1は、 1500馬力のパワーを持ち 最高速370キロを記録していました。
それからレギュレーションの改定によりエンジンは、NAへ、、、
V12 V10 そして V8のみという がんじがらめになっていきます。
それでもニューマチックバルブ(バルブSPの変わりに空気を利用する機能)の採用により
高回転化が可能になりNAエンジンでも1000馬力近いパワーを出すようになりました。
がんじがらめのレギュレーションの中でも技術者は、知恵を絞り究極といわれる進歩を遂げてきました。
でも、翌年から2.4Lの8気筒制限、、、円形ピストンで4バルブのみ、、、
さらにVバンクの角度までも90度のみという規制に、、、
しかも、2008年から2012年までは、一切のエンジン開発が禁止。
技術者にとってゲッソリのこれ以上ないレギュレーション
何の為にF1の技術者になったのか? この仕事を選んで失敗だったと思わせる結果となりました。
昔、本田宗一郎氏は、 サーキットは、「走る実験室}という名言を残しました。
「サーキットは、技術者にとっては天国だぞ。世の中は資本家つまりカネを持ったヤツが偉いが、
サーキットだけは、速さの技術を持ったやつが偉いんだ。すべての技術者で1番幸せな仕事をしていることだけは
わかっておけよ」と
これが「サーキットは、走る実験室」の真意を表しています。
サーキットのトラックの上だけは資本主義の原理原則が通用しない、「技術主義の場所」であるということです。
私も、そう思います。サーキットは、エンジニアにとっては天国でなくてはならずカネに物を言わせることしか
出来ない人が入ってきてはいけない場所であると、、、、
でも、現実のF1は、資本主義に飲み込まれようとしています。
それをさせない為にFIAやFOTAがいろいろなレギュレーションで技術主義を守ろうとしている。
これが本当の真実です。
F1が面白くないのは、FIAのせいだと思う人がいますが、実はFIAは、悪人ではなく
本田宗一郎の「走る実験室」を守ろうとしていた。
でも、F1における技術の進歩が早過ぎてどうにもならなくなったのが今の状態です。
究極を求めるのはお金がかかります。
でもその究極のマネをするのは簡単です。お金さえあればOKです。
そうするとお金のないチームは、どんどんサーキットを去らなければなりません。
スーパーアグリがそうであったように、、、
そして、、ホンダのF1撤退、、、、
このままいけば本当にF1は、なくなってしまう。
「走る実験室」を維持できなければ、、、、
本当の技術者は、こういいます。
「技術で負けるなら仕方がないことだと、、、」
「でも、、資本に負けるのはイヤだと、、、」
2009年は、いろいろなことを真剣に考えていかなければならない年になると思います。
この激動の時代を全員でがんばって乗り越えて行きたいですね。
参考記事
ジャパンカート 2009年2月号